GUIDE
議員のSNS発信と公職選挙法ガイド
「この投稿、公選法的に大丈夫だろうか」——発信に慎重な議員ほど、ここで手が止まります。 日常の発信と選挙期間のルール、そして2027年3月施行の改正法までを実務目線で整理しました。
必ずお読みください
本ページは公開情報に基づく一般的な解説であり、法的助言ではありません。 個別の判断は、必ず所属自治体の選挙管理委員会または弁護士にご確認ください。
すべての出発点:「政治活動」と「選挙運動」の区別
公職選挙法上の選挙運動とは「特定の選挙で、特定の候補者への投票を得る目的で行う活動」。 これは告示日(立候補届出)から投票日前日までしかできません(それ以前に行えば「事前運動」として禁止)。 一方、政策の周知や活動報告などの政治活動は、時期を問わず自由に行えます。 日々のSNS発信で問われるのは、ほぼこの一点——「投稿が投票依頼になっていないか」です。
平常時のSNS発信:OK / NG
議会報告・活動報告・政策への考えの発信(=政治活動。時期を問わず可能)
住民相談を受けて動いた報告(個人が特定されない形で)
演説会・街頭活動の告知
「次の選挙もよろしくお願いします」等の投票依頼(=事前運動。選挙運動は告示日から投票日前日まで)
選挙が近い時期の「◯◯選挙に出ます。ご支援を」という支援・投票の呼びかけ
選挙期間中のSNS発信:OK / NG
2013年のネット選挙解禁により、ウェブサイト等(SNS・ブログ・動画を含む)を使った選挙運動は候補者にも有権者にも認められています。 ただし「電子メール」と「有料広告」には厳しい制限が残っています。
X・Facebook・Instagram・YouTube・ブログ等での選挙運動(候補者本人も有権者も可能)
投稿にメールアドレス等の連絡先を表示する(ウェブサイト等で選挙運動をする場合の表示義務)
選挙運動用の電子メール送信(候補者・政党のみ。しかも自ら送信を求めた人等に限定。有権者は転送も不可)
選挙運動用の有料インターネット広告(原則禁止)
投票日当日の選挙運動の投稿(前日までの投稿がそのまま残るのは可)
2027年3月施行:改正公職選挙法で何が変わるか
2026年に成立した改正公職選挙法・情報流通プラットフォーム対処法は、2027年3月に施行され、同年春の統一地方選挙から適用されます。 SNSでの偽情報とAI生成コンテンツへの、初めての本格的な対応です。
AI生成の画像・動画に表示義務
生成AIで作成・加工した選挙運動用の動画や画像のうち、実際の撮影と誤認されるおそれのあるものには、AI生成である旨の注意表示が義務付けられます。
偽情報の投稿は「違法」と明記
虚偽の事項や事実の歪曲により選挙の公正を害する投稿が、法律上の違法行為として明確化されます(罰則はありませんが、プラットフォームによる削除の法的根拠になります)。
SNS事業者に対策義務
X等の大手プラットフォームに、偽情報の拡散防止措置と年1回の状況公表が義務付けられます。AI生成ラベルの付与機能などがガイドラインで求められる見込みです。
よくある質問
LINEやDMで投票をお願いするのは違法ですか?
SNSのメッセージ機能(LINE・XのDM等)は法律上「ウェブサイト等」に分類され、規制が厳しい「電子メール」(SMTP方式等)とは区別されています。そのため選挙期間中であれば有権者も利用できます。ただし事前運動の禁止など他のルールは同じように適用されます。
AIで発信の文章を作るのは公選法違反ですか?
文章の下書きにAIを使うこと自体を禁じる規定はありません。ただし発信内容の責任は本人にあり、虚偽事項の公表は処罰の対象です。また選挙運動用の文書作成を外部(業者等)に委ねることには公選法上の論点があるため、選挙運動に関わる利用は特に慎重に、必要に応じて選管・専門家に確認してください。なお2027年施行の改正法で表示義務の対象となるのは「実際と誤認されるおそれのあるAI生成の動画・画像」です。
投票日当日は何もできませんか?
投票日当日の選挙運動は禁止されているため、新たな投票依頼の投稿はできません。前日までの投稿が残っていること自体は問題ないとされています。当日は「投票に行きましょう」という一般的な投票参加の呼びかけにとどめるのが安全です。
落選運動(特定候補への投票をやめるよう呼びかける活動)にもルールはありますか?
あります。落選運動にも表示義務等の規制があり、2027年施行の改正法ではAI生成物の表示義務が落選運動目的のコンテンツにも及ぶとされています。
あわせて読む:議員の情報発信「続け方」ガイド——ルールを守った上で「続ける」ための実務の型(完全版を無料配布中)/政務活動費での計上ガイド
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