GUIDE
公約の書き方
公約が本当に効いてくるのは、掲げた日ではなく4年後です。 「あのとき何と言ったか」を自分で説明できる形になっているか。ここが、書き方のすべてを決めます。 検証される前提で書くための型と、公職選挙法上で気をつける点をまとめました。
この記事の要点:公約は「方向」と「検証できる約束」を分けて書きます。 後者には何を・いつまでに・どうやってを入れ、任期4年で説明がつく粒度に切り分けます。 そのうえで、時期によっては公職選挙法の規制がかかることに注意します。
検証に耐える公約・4つの型
スローガンと公約を分ける
「子育て支援を充実させます」は公約ではなく、方向の表明です。方向は掲げてよいのですが、それだけで並べると、任期の終わりに何ひとつ検証できません。方向(スローガン)は3つ程度に絞り、その下にそれぞれ検証できる公約をぶら下げます。
「何を・いつまでに・どうやって」を1文に入れる
公約が具体的かどうかは、この3つが揃っているかで決まります。「学童保育の定員を、任期中に1.5倍へ。市有施設の空き教室の転用を提案します」。ここまで書けば、達成も未達も自分で説明できます。
財源と手段に一言でも触れる
実現手段を書かない公約は、有権者から見ると願望と区別がつきません。予算規模、既存事業の組み替え、国や県の補助制度など、当てにしている道筋を一言添えます。分からない部分は「◯◯を調査したうえで」と書けば十分です。
任期の長さで検証できる粒度にする
地方議員の任期は4年です。10年かかる事業をそのまま公約にすると、任期中は「進めています」としか言えません。大きな事業は「4年で何合目まで行くか」に切り分けて書きます。
やりがちなNG → 改善
書き換えの実例
before
子育て支援を充実させます。
after
待機児童の解消に取り組みます。まず学童保育の定員を任期中に1.5倍へ広げます。市有施設の空き教室の転用を提案し、必要な改修費は既存の施設整備費の組み替えで賄えないかを調査します。
方向(子育て支援)の下に、検証できる約束(定員1.5倍・任期中・空き教室の転用)が入りました。
before
防災力を強化します。
after
避難所の運営を、地域が自分たちで回せる状態にします。任期中に、市内の全避難所で住民主体の運営訓練を1回以上実施することを求めていきます。
「強化」という測れない言葉を、回数と対象範囲に置き換えました。
before
市の財政を健全化します。
after
公共施設の維持費を見直します。築40年を超える施設の統廃合計画について、任期の前半に市の方針を議会へ示すよう求めます。
自分の権限で到達できる地点(=議会で求めること)まで絞り込みました。議員は執行機関ではないので、ここを正直に書く方が信頼されます。
公職選挙法で気をつける点
公約そのものを掲げることに制限はありません。日常の政策発信は政治活動であり、自由に行えます。 ただし書き方と時期によっては、規制の対象に入ります。実務上、注意すべきなのは次の3点です。
投票の呼びかけを混ぜない(事前運動の禁止・129条)
公約の説明はいつでもできますが、「次の選挙では私に一票を」といった投票の呼びかけは、立候補の届出前には行えません。政策を説明する文章と、投票を依頼する文章は、別のものとして扱ってください。選挙運動ができるのは、立候補の届出日から投票日の前日までです。
有権者への利益供与を約束しない
公約は政策の提示であって、個々の有権者への給付の約束ではありません。特定の相手に金品や便宜を提供すると読める書き方は、寄附の禁止や買収の問題に触れるおそれがあります。「◯◯地区の皆さまに」といった限定を、給付の話と組み合わせないでください。
確認していない事実を書かない(虚偽事項の公表・235条)
公約の裏づけとして数字や他自治体の事例を挙げるときは、出典が確認できるものだけにします。当選を得る目的で身分・経歴・所属について虚偽の事項を公にすることは禁じられており、政策の前提として述べた事実についても、誤りは信頼を大きく損ないます。
本ページは一般的な考え方のご紹介であり、個別の事案についての法的助言ではありません。 判断に迷う場合は、所管の選挙管理委員会または弁護士等の専門家にご確認ください。
掲げたあと、任期中に何をするか
公約は、書いて終わりにすると4年後に自分の首を絞めます。おすすめは、年に1回、自分から達成状況を出すことです。 達成できていない項目を隠さずに書くほうが、結果として信頼されます。「未達。理由は◯◯。来年度はこの角度から取り組みます」と書ければ十分です。
この年1回の棚卸しは、議会報告や活動報告の素材にもなります。公約・議会での質問・住民からの相談が、 同じ場所に記録されていれば、棚卸しは書き写すだけの作業になります。
よくある質問
公約は何項目くらいが適切ですか?
方向を3つ程度に絞り、その下に検証できる約束を各2〜3件、合計で6〜10件が扱いやすい分量です。20項目を並べると、有権者は覚えられず、ご自身も任期中に追いきれません。
実現できなかったらどうなりますか?
未達そのものより、触れないことのほうが問題になります。年1回の棚卸しで理由とともに報告していれば、有権者は経過を理解できます。議員は執行機関ではないので、「求めたが実現しなかった」も正当な結果です。
前回の公約をそのまま使い回してよいですか?
達成済みのものを残すと、検証されたときに説明が難しくなります。達成・未達・状況が変わったものを仕分けて、未達のうち今も必要なものだけを引き継ぐのが誠実です。
書くのに時間がかかります
型が決まっていれば大きく短縮できます。PolicyMateの公約・政策文ツールは、政策分野と課題・目標を入力すると下書きを生成します。文体はご自身の過去の文章に寄せられ、採否と公開の判断は必ずご本人が行います。
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